二次元裏@ふたば
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画像ファイル名:1779541264591.png-(186578 B)
186578 B26/05/23(土)22:01:04No.1432755875+ 23:10頃消えます
VRウマレーター ver7.2.3
Copyright サトノグループ
起動シーケンス開始…
[SYS-01]メインサーバーリンク確認 … OK
[SYS-02]ウマ娘データベース同期 … 完了
[SYS-03]個体名チェック … グラスワンダー
[SYS-04]シチュエーション … 新婚ホヤホヤ
[SYS-05]季節設定 … 夏
全システム正常稼働
ようこそ、トレセンVRフィールドへ!
126/05/23(土)22:01:28No.1432756033+
「あなた、日本語が上手なのねえ」
みーん、みーん、みんみんみみみみみ……。
商店街の一角、軒先に段ボールのまま商品を陳列する八百屋には柴犬が繋がれていて、短い尾を左右に揺らしながら買い物客へと愛嬌を振りまいていた。
グラスワンダーは不揃いのトマトを籠に入れ、奥にいる女主人へと会計をお願いした。
「見ない顔ねえ。お嬢さん、近所の人?」
「はい。夫のもとに嫁いできまして」
「あらやだ、あなた、日本語が上手なのねえ」
日本語が上手なのねえ。
その言葉だけが、蝉しぐれの中で何度も反響していた。
226/05/23(土)22:01:53No.1432756196+
夫――かつてのトレーナーの生家は歴史ある庄屋屋敷で、重厚な長屋門が見るものを圧倒していた。
左右に紫陽花を配した玄関通路は石畳でできており、下駄がからころと快い音を立てた。
内部は広大である。寄合の場や簡易宿泊所としても使われた大広間は三十人を収容したという。
外周に回り廊下が張り巡らされていて、どこの間からでも石庭を望むことができた。
「おかえり」
「今、昼食にします」
「うん」
二人で住んでいた。
明治大正の世ならばいざしらず、令和にあっては下女も書生も縁遠い存在となっていた。
326/05/23(土)22:02:16No.1432756369+
生活の場はもっぱら女中部屋で、大広間は持て余しているが掃除は行き届いている。
グラスワンダーはちゃぶ台の上に氷入りのそうめんを置き、様々な薬味を脇に添えた。
欄間に吊るした風鈴が澄み切った音を立てた。
「八百屋で言われました。日本語が上手なんですねと」
トレーナーはずるると一口すすった。扇風機が静かに首を振っている。
「私が青い目をしていたからでしょうか」
「……」
一度麺を引き上げてから、つゆの中に沈み込ませる。
「私は、髪を黒く染めたほうがいいのでしょうか」
「今の髪が綺麗だよ」
とだけ。
426/05/23(土)22:02:45No.1432756598+
家具の手入れや庭の雑草取りなど現代的な観点で言えば無駄の多すぎる家である。
トレーナーとグラスワンダーは手分けして管理・維持・修繕を施していた。
「グラス、これ」
縁側を雑巾で拭いている時にトレーナーから薄い文庫を渡された。
「これは……漱石ですか?」
「『坊っちゃん』だ」
「なぜこれを?」
「あとで感想を聞かせてほしい。縁側は俺が拭いておく」
素直に言葉に甘えることにしたグラスワンダーは、籐椅子に腰掛けて読書に没頭した。
526/05/23(土)22:03:14No.1432756794+
『坊っちゃん』の存在は知っていたが今まで手にしたことはなかった。
『こころ』とか『門』とかと同様に、夫婦生活を描いたものだと誤解していた。
たいへん興味深く読んだ。
主人公の坊っちゃんが愛媛の数学教師として赴任する。
そこで個性的な教師たちと出会い、敵味方別れて事件を起こすというあらすじだ。
無鉄砲で江戸っ子気質な主人公の一本気な語りっぷりが面白い。
恋愛などはほとんどなくて、終始からりとした痛快ともいうべき話で、読後感が良い。
最終的に坊っちゃんは愛媛に愛想を尽かし東京に帰ってしまう。
ハッピーエンドではないものの、それもなんだか『らしい』気がした。
626/05/23(土)22:03:44No.1432757012+
夕食を終えた後、まったりとした空気が流れ、昼食時の重みはなくなっていた。
「読みました。ふふっ、面白かったですよ。坊っちゃんは楽しい人ですね」
「ラストはどう思う?」
「東京に帰るというのも、一つの選択だと思います。大好きな女中の清(きよ)もいますしね」
ふと、トレーナーがこの本を渡してきた真意は何なのだろうと考えた。
坊っちゃんは異郷の人、様々な衝突の末に、ついには故郷に帰る決意をする……。
私はアメリカ出身、日本に憧れ日本語を学び日本のトレセン学園に入学した。
しかし、どこまで行っても私は『日本語が上手なのねえ』でしかない。
「トレーナーさんは、私がアメリカに帰った方がいいと思っていますか?」
726/05/23(土)22:04:18No.1432757292+
すると、トレーナーは立ち上がってグラスワンダーを大広間まで連れて行った。
そこには広大な畳が広がっているだけ……かと思いきやすっかり様変わりしていた。
「これは……アメリカンクラシック!」
軒先に商品を並べる露店のように、アメリカンモチーフの品がずらりと畳に並べられていた。
カウボーイハットがあった。拍車付きのブーツにデニムパンツ、スカーフが飾ってあった。
ペプシとコーラのロゴを模したネオンサインが怪しい光を放っていた。
ダイナーのカウンターとスツールが置いてあり、コーヒーが湯気を立てていた。
ハーレーダビッドソンのバイクの脇には、M&M'sのカラフルなチョコがばらまかれていた。
日本家屋の大広間は完全に異国の空間に置き換えられていた。
826/05/23(土)22:04:50No.1432757544+
「実はグラスが日本好きなように、俺もアメリカ好きなんだ。ニワカだけど」
トレーナーは照れくさそうに頬をかいた。
「清(きよ)がいるなら、俺はどっちでも暮らせるよ」
グラスワンダーはしばらく、ネオンに照らされた畳の上を見つめていた。
カウボーイハットと風鈴。ハーレーと石庭。コーラのネオンと、縁側の蝉の声。
そのどちらも、自分たちの故郷に違いなかった。
「トレーナーさん、私の瞳をどう思いますか?」
ネオンに照らされて青い瞳が浮かび上がった。
「めっちゃ綺麗だよ」
926/05/23(土)22:05:15No.1432757757そうだねx1
ビー、ビー、ビー。
システムシャットダウン、お疲れ様でした。
VRウマレーターを出たグラスワンダーは、ふらつく足取りで屋外に出た。
空を見ると、夏の積乱雲がもくもくとその勢力を拡大していた。
立体的な雲の合間から、飛行機雲が一筋飛び出していく。
みーん、みーん、みんみんみみみみみ……。
1026/05/23(土)22:07:04No.1432758622そうだねx3
何の何の何??????
1126/05/23(土)22:07:21No.1432758748+
ウマレーターは流石だなぁ
1226/05/23(土)22:07:47No.1432758909+
ウマレーターがまた変なシミュレーションに使われてる…
1326/05/23(土)22:10:03No.1432759930+
ウマ娘はウマレーターを何だと思ってるんだ
1426/05/23(土)22:12:11No.1432760906+
異邦人の自分を優しく受け入れてほしいけど現実に悪意鳴く嫌味を言ってくるおばさんはいないしバカでかい屋敷もないんだ
1526/05/23(土)22:17:15No.1432763152+
こうしてトレーナーの素知らぬところでグラスの想いはより募っていく
1626/05/23(土)22:17:24No.1432763213+
うなされてるときの夢?
1726/05/23(土)22:30:15No.1432768333+

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