寒がる私を見て、祥は何も言わず私に与えたのだろう。
「…祥」
その結論に達した時、私の体はひとりでに動いていた。
祥の隣に座り、ブランケットを二人で分けるように脚にかける。
何故こうしたのか分からない。
なにかに引っ張られたような感覚があった。けれどそれが不快ではない。
「祥。二人で、使いたい」
「睦…」
驚いた顔の祥。けれどすぐに、その表情はほころぶ。
祥が喜んでくれた。
「ありがとう。温かいですわ」
二人の脚がブランケットの中で触れ合う。祥の脚はひやりと冷たい。
その冷たさが嫌ではない。触れたままでもいたいとすら感じる。
ブランケットに包まれた私達二人の脚が少しずつ温まっていく。ゆっくりと。

「最初から、こうすればよかった」
「そうですわね…そうすればよかったですわ」
今の私は祥が求める睦を演じられているだろうか。
2人分のぬくもりが、私を鈍らせている。なにかに引っ張られて、少しずつブレていく感覚。
私の奥底で、誰かが微笑んでいる。
「もう少し、このまま」
「ええ。もちろんですわ」
このまま…このままでいたいと思ったのは、演技？
──分からない。
分からないけれど、今はただこの温かさに身を委ねようと思う。
触れ合う祥の体温を感じながら、私はそっと目を瞑った。

ムツさき！

なんでこんな夜中に…もう朝か

ムツさき

ムツミだからムツさきなのか…

ムツさきはｹﾝｺｳﾆｲｲ!

ムツさきは…長く続く…続かせる…

表に出て活動するの一年生なんだからここから情緒を学んで行けばいい

神の体温低そうなの分かる

“私”の記憶…優しい祥との記憶が沢山…